[ HOME ]

オーストラリア皆既日食旅行記



11/12(月) 観測地下見

朝食  前々日同時刻頃の観測地の下見の様子です。椅子が整然と並んでいます。空は一面の雲。空港を皮切りに、ここに来るまでに何度も激しい通り雨に見舞われました。当日はここで6時間近く観測することになります。日本から用意してきたビニール袋だけでは足りそうにありません。ってか、折りたたみの小さな傘では、激しい雨は防げそうに無いです。市内に着いたらスーツケースもカバーできるビニール袋と、大きな傘の入手を最優先事項にしました。


11/13(火) 前日同時刻の同方向

前日同時刻の同方向  滞在先であるケアンズ市内のホテルから見た、前々日同時刻頃の太陽の方向です。雲が多くて太陽の姿が見えません。相変わらず時々雨がザーッと降ります。観測地の椅子地獄はイヤなので、一瞬ここから見ようかとも思いましたが、晴れ間が期待できないので、やはり観測地に向かうことにしました。ちなみにこの画像は、ソニーのDSC-WX100というコンパクトデジカメの絵画調HDR機能を使って撮っています。太陽や雲の部分と地上の風景などは明度差が多く一枚の画像で表現するのは難しいのですが、この機能を使うと、どちらもハッキリ写しこむ事が出来ます。人間の目は頭の中でこの処理を瞬時にこなしているので、いくら電子技術が発達したとはいえ、まだまだ人間の能力には及びません。


ホテルでゴハン

ホテルでゴハン  今回のツアーで用意されている食事は、機内食かホテルの朝食のみで、昼食と夕食は自分でどこかで食べる必要があります。ホテルから1ブロック隣のウールワースというスーパーで、パンとハム、サラダ、チーズなどを買ってきて、お部屋でパクパク食べました。旅行会社のツアー案内は様々なオプションツアーやディナーショーが組み込まれていますが、日食前は機材の再確認と体力の温存というのが自分のポリシーなので、最大限くつろげるホテルの部屋で黙々と準備を進めました。スーパーで買った超巨大ビニール袋でスーツケースを雨から守るテストも、もちろん実施しました。


11/14(水) 観測地に到着

雨の中、待つ  皆既日食は日の出とともに始まります。今回の観測地は2千人近く収容できる場所の割には細い道が一本だけなので、入場スケジュールが綿密に組まれていて、自分たちは午前零時にホテルを出発、午前1時過ぎには現地到着となりました。真っ暗な中、まず観測場所を決め、三脚と機材を組み立て、ビニール袋で雨よけをしました。あとはひたすら朝が来るのを待ちます。到着した頃は頭の上にオリオン座やシリウスなど日本ではあまり高くならない星座たちが見え、南半球に来たんだな、という事が実感できます。南十字星も東の空に昇ってきて、天の川は濃く太く見え、周囲に街が無いと、とても星空は綺麗に見えるんだな、と感じました。その星が急に見えなくなり、フッと風が吹くと雨がザーッと降ってきます。暗い中、同じ方向を向いた椅子に座わり、皆で明け方を待ちます。


闇夜の朝ごはんパック

闇夜の朝ごはんパック  観測地では食事が出る事になっていました。まりりん(妻)に受け取りに行ってもらうと、かわいい白い箱にサンドイッチとフルーツ。あたたかいコーヒーか紅茶も準備してあり、観測地スタッフの方々の心配りが感じられました。ボクのボックスにはリンゴでしたが、まりりんのボックスにはバナナ。サンドイッチの具も違うのかなー、と思ったけど、結果はハムチーズサンドで一緒でした。マフィンはブルーベリーで甘く、寒くなってきた観測地でホッとするひと時でした。


明け方

雨の機材  日の出の時刻になりました。周囲の様子が見えてくると、みなさん苦労して雨対策をしていました。日食観測では必須のWindowsパソコンと、アストロアーツのエクリプスナビゲータVer2.5にGPSユニット。すっぽり入るビニール袋を用意していて正解でした。キーボード手前が開口部になっていて、そのまま操作できます。GPSで測位した緯度経度と高度を元にソフトが計算してくれて、日食の様子を画面上にシミュレートしてくれ、さらにダイヤモンドリングが見える第二・第三接触までのカウントダウンを読み上げてくれます。もうこのパソコン無しでは日食観測は考えられません。今回も大変お世話になりました。ちなみにこのソフトの作者も、この写真のちょっと下のほうで観測されていたようです。
 自分たちは用意周到に傘やら防寒着、防水用のビニール袋を用意しましたが、フツーの観光ノリで参加された方々も多く、いきなり観測地に放り出され、椅子に座って数時間待ちなさい、って感じになって唖然としてた方もいらっしゃったようで、ツアー会社によって対応がいろいろあるのだな、と思いながら夜明けの風景を眺めていました。


2分前に太陽が顔を出した!!

文字では語れないので、YouTubeでの映像をどうぞ。


皆既が終わって

皆既が終わって  この映像のあと、太陽は雲に見え隠れしつつ高度を高くしてゆきます。今までの経験では、太陽が欠けてゆく時間経過を感じる事で、徐々に気分が高揚していくのですが、今回は、いきなり細く欠けた太陽が見え、続いてコロナが見えるという、超いきなり驚かされるパターンだったので、再び明るくなった時の放心状態がハンパではありません。でも、とりあえず機材と記念撮影をしました。後ろはトイレエリアです。
 太陽は細く欠けた姿から、刻々と円を取り戻してゆきます。イスに座ってその姿を追い続けているのですが、どうもみなさん明るくなったらそれで終わったのかと思われたようで、周囲をウロウロする方が増えました。また、旅行社側から「もうバスの準備は出来ていますので、用意の出来た方から荷物を片付けてバスにどうぞ」なんてアナウンスが流れると、もうウロウロ人は増えるばかりです。おかげでカメラの前を通る人が続出。イスでバリケードを組んでみましたが、その隙間を突いて歩く人まで出てくる始末。丁寧に「すいませんが、まだ撮影していますんで」と促すのも疲れ、もう部分食の撮影どころではありません。今回は、第二〜第三接触を見るためのツアーだったんだ、ど自分に言い聞かせて撮影終了としました。


11/15(木) 月齢1.4の細い月

細い月  帰りの飛行機の窓から見えた、夕焼けと細い月です。皆既日食から約30時間を経過して、月と太陽の距離は、こんなにも離れました。太陽と月は、地球から見ると、ほんの少し動くスピードが違います。それが、あるタイミングでピッタリ重なって地球上に影を落とします。その影の帯の真下に立てば、皆既日食が見えます。地球は海の星です。皆既日食が見える帯は、今回は、ほとんど海の上で、日の出直後だけ、ちょこっとケアンズにかかりました。なので、皆、ケアンズを目指しました。行きの成田空港から始まり、ケアンズ市内のスーパーや、観測地で、とても多くの友人に出会いました。同じ日本に住んでいるのに、国内では滅多に顔を合わせることがありません。でも、この友人たちはいつも「月の影の下」で再会します。「エクリプス・チェイサー」「日食ファン」「皆既ヲタク」など色々な名前で呼ばれますが、この皆既日食という現象は、実際に見て、空気で感じないと、何が良いのか伝えるのは、とても難しいです。その伝える難しさにチャレンジするために、毎回色々な方法で記録を試みています。
 今回は傘を差しながらコロナを撮影するというトンデモない状況でしたが、雨のために機材のセッティングを変更したことで、面白い映像が撮れたと思っています。この素材を活かして、皆既日食や天文現象、天文学や科学の面白さが伝えられたらいいな、と思っています。
 最後までお読みくださりありがとうございました。


備忘録

旅程
11/11(日)
<JST(=UTC+9)>
17:00 成田P3着/JQ26 CkIn
20:20 PushBack
20:40 TakeOff NRT->CNS (A330-200)
<AEST(=UTC+10)>

11/12(月)
04:46 TouchDown
05:40 ケアンズ空港発
07:00 観測地下見
14:00 ホテルCkIn

11/13(火)
買出しなど

11/14(水)
00:10 ホテル発
01:20 観測地着
05:44 第1接触
06:38 第2接触
06:40 第3接触
07:40 第4接触
08:00 観測地発
09:25 ホテル着

11/15(木)
08:10 ホテル発
09:35 ケアンズ空港/JQ25 CkIn
12:08 PushBack
12:15 TakeOff CNS->NRT (A330-200)
<JST(=UTC+9)>
18:43 TouchDown

――――――――――
費用
ツアー代金 340,000JPYx2
成田空港税 2,540JPYx2
オーストラリア空港税 8,600JPYx2
燃料サー… 28,400JPYx2
お小遣い 100AUD

――――――――――
観測地
Ammaro QLD Australia
E145d36m19.44s
S016d47m54.12s
H375m

――――――――――
使用機材

1.広角〜拡大
SONY HVVR-Z7J[HDV記録]
+ HVR-MRC1[CF記録]
+ Canon J20a×8BIRS[B4-Lens]
+ ザハトラーFSB-4[三脚]

2.全体カメラ
SONY HXR-MC1[AVCHD記録]
+ Raynox DCR-CF187PRO
+ マンフロット051JB[脚]

3.太陽全球
NIKON 1 J1[HD動画記録]
+ 500mm/F8[MaksutovCas]
+ 微動雲台(Vixen)

4.自分撮り
SONY DSC-WX30[HD動画記録]
+ ミニ三脚

5.全球〜ダイヤモンドリング
SONY HDR-CX550V[AVCHD記録]
+ Raynox HDP-7700ES[3xTele.]
+ 微動雲台(Vixen)

6.スナップ1
SONY DSC-WX100

7.スナップ2
Panasonic DMC-LX3



このページの先頭へ